任意整理の心強い参入
こうした手間があるので、その分だけ手数料をとられますが、一般投資家が直接に種、の手続きをすれば大変わずらわしいことになるので、やむをえないことでしょう。
個人の外国株投資が今後どのくらいふえるか、についての見通しはさまざまです。
いくつかの難点があるからです。
たとえばニューヨーク株式は百株単位の売買ですが、一株の値段は四十─五十ドルぐらいが平均ですから最低四千─五千ドル、つまり六十─八十万円は必要であり、そのほかに手数料を計算に入れなければなりません。
また、日本の会社のようには簡単に会社ニュースが入りません。
それに各国それぞれの特殊事情もあり、しらぬ間に半分の値に暴落することもありえないではありません。
もちろん証券会社の方もできるだけそれらの外国会社のニュースをいち早くキャッチしてお客に知らせる努力はしているのですが、なんといっても外国のこと、日本の会社ほどにはうまくいかないでしょう。
不安感はぬぐい切れません。
外国株を買うときには、そのための取引口座を開設する必要があります。
そして株券保管、名義書き換え、配当支払いなどの事務処理のための費用として一万五千円(一年ごとに)払わねばなりません。
また委託手数料(各国まちまちですが)と、日本の証券会社に支払う取り次ぎ手数料との二つも必要です。
したがって日本株式に投資したときよりも大幅な株価変動がないと得にならない勘定です。
そのほか、せっかく大金を投じても現物の株券をみることができないとか、受け渡しも日本のようにきちんと四日目ということにはならないとか、時差の関係もあってすぐには売買が成立しないとか、いくつかの問題点が存在します。
もっと根本的な問題は、日本のような高度成長をとげている国は世界に例がなく、そういう意味では日本の株式は最も妙味があるとも言えます。
だから海外の株式を買うぐらいなら、もっと日本の株式に目を向けろという人さえいます。
しかし株価変動の波は国によってまちまちです。
東京市場が新高値を記録しているのに、ニューヨーク株価が不振にあえいでいたり、西ドイツの株価が頭打ちになっているときにオーストラリアの株がブームになっていたりすることがよくあります。
こうした株価変動の波を利用して、財産の保全を図ることは非常に便利です。
それに、日本にはないが外国にはある──といった株があります。
たばこ株とか、原子力株とかいったものです。
ダイヤモンド株もその一種でしょう。
つまり投資対象が広範囲になるというメリッ卜があります。
また四十七年七月から外国株の店頭取引が実施されました。
証券業者が手持ちしている外国株で、しかもその業者が売買を応諾したときにのみ成立する売買ですが、そうした条件つきであるにせよ、わざわざ時間のかかる外国へ注文しなくてすみますし、外国の証券業者に支払う手数料も不要になります。
このような傾向がもっともっと進めば、外国株投資におけるいくつかの制約条件が緩和されることになるでしょう。
世界経済と日本経済との動向によって、いくつかの波動は描くでしょうが、外国株投資は、日本株式への外国人の投資と相互交流しながら、その規模を拡大していくとみるのが最も妥当でしょう。
株式投資の相互交流のためには、お互いの国の株式がお互いに上場されているのが望ましい状態です。
ただ各国取引所でそれぞれ上場資格なり、他の習慣なりが違うため、その状態が実現しにくいのです。
現在、日本の株式はADRとかEDRとかの形をとって欧米諸国で売買されていますが、普通の株券の形で正式に上場されているのはごくわずかです。
たとえば、日本の株価は一株当たり平均で千円程度にすぎず、ドルやポンドに直しても六、七ドル、四、五ポンドの水準です。
これでは優良株のイメージはわきません。
また米国内での上場にはSECによる厳しい基準があるため、一朝一タでは上場できないのです。
一方、日本での外国株式の上場は四十八年十二月から始まりました。
一般投資家が外国株を証券業者の店頭で売買できるようになってから約二年半の後に、ようやく六銘柄の外国株が上場されたのです。
だがこちらの方もそれほどうまくいきませんでした。
その理由はいくつかあります。
第一には、本格的に日本の市場で資金調達をするための上場というよりも、“顔見世興行”のような気分があったこと、第二に、六つの企業はいずれも欧米の大企業ではあるが、日本の投資家になじみの薄い企業もいくつかあったこと、第三に、前述のような外国株投資の手続きなどの煩わしさがマイナスになったこと──などがおもな理由でした。
したがって外国株の売買はしだいに先細りとなり、昭和五十八年六月にはフランス石油が上場をやめることを決めました。
これを契機として東京証券取引所は、従来の外国株上場の基準をぐっと緩和し、同時に証券業界全体で外国株の上場と売買を盛んにするような方針を取り始めました。
たまたま、日本の金融緩和、金利低下を背景として株式市場に大量の資金が流人し始めた五十九年ごろから、外国株に投資意欲がわき始めました。
特に翌六十年には、東証上場の外国株の売買高は年間で一億三千百万株余りに達しました。
上場銘柄も六十年末で二十一、六十一年末には五十余りと急増しました。
しかも従来の米国中心でなく、欧州の会社もふえてきています。
今後もいっそう「開かれた証券市場」のイメージを外国に定着させられれば、日本の証券市場での外国証券の活発な取引は非常に期待できるものと思われます。
株式市場は国際的視野で運営されなければ大きく発展しません。
ただそのためには、個人の資産がふえ、国の経済にゆとりが生まれなければそうした広い視点を持つこともできません。
日本では産業の成長、発展により株式市場を充実させ、その市場産業界の資金調達に貢献するという好循環が現在のところ持続しています。
前章までは株式または株式市場の仕組みなり、大きさなり、変化の仕方なりを解説してきましたが、最後のこの章では、一国経済の中に占める株式市場の地位とか、今後の株式市場の発展するためにはどのような条件が必要かなどについて、巨視的な観点からまとめてみたいと思います。
株式市場の二つの役割のうち一つは、企業の資金を調達することですが、もちろん企業の欲する資金を全部調達するわけではありません。
それどころか、株式による調達はごくわずかです。
戦前の経済構造が特殊なものであったとしても、戦後と戦前とではあまりにもギャップがあります。
また、戦前の企業の自己資本は六〇%を超えていました。
戦後でも三十年度あたりまでは四〇%台でした。
自己資金内{社内留保訳減価償却財政資金しかしその後その比率は低下する一方で、五十年代後半からようやく上昇テンポに反転しつつありますが、まだまだ圧倒的に他人資本(銀行惜入金や社債など)に依存していることがわかります。
もちろんこうした傾向には理由があります。
三十年代後半から始まった高度成長は、巨額の設備投資を必要とし、多少の利益蓄積や、新株発行(増資)による資金調達だけでは到底間に合わず、銀行などの金融機関からお金を大量に借り入れたからです。
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